【作家紹介】北沢 夕芸さん

「音楽家の肖像」The VIBES展 ディレクターのサカヨリです。

北沢さんの画を見つめていると、こどもの頃に見ていた夢ってこんな感じだったなと思う。


昼間でも薄暗い森を歩いている時のような現実を遠ざけるような静謐な色使い、奥行きがあるのに平面的、風が吹いても物音一つしない、ずぶ濡れで寒くてもさらっとしている、そして一番のポイントは「なのに安心してその世界でまだまだ遊んでいたい」と思うことだ。


怖いのに美しくて楽しくてドキドキワクワクしながら(ときには布団に粗相をして)まだまだ夢から覚めたくないと思う感覚は、よくできたファンタジー映画のようだ。

その登場人物たちは無表情なようでいてなんと演技力豊かなことか。


音楽に関してはとても愛情の深い方とお見受けしているのだが、こういう濃密な夢のような世界で彼らの表情がどう描かれるのか楽しみだ。

(個人の感想です。)


そんな北沢さんが暴くのは

祈りの歌姫

美意識のブルースマン

傷だらけの悩み深き男


誰がどんな顔でそこにいるのか、ぜひギャラリーで確かめてください。


北沢夕芸/イラストレーター

その昔、僕は吉田カツさん(フジテレビのロゴも作った人)が今はなき雑誌GOROでミュージシャンのポートレイトをパンクにヘビーに変幻自在に描いているのを書店で見つけて、こんな風に俺も描くぜ!とアパートに走って帰るとロッキングオンのグラビアを横に置いて鉛筆やクレヨンで紙にグチャグチャと好きなロックミュージシャンのポートレイトを描いた。そんな気分を思い出しての展示参加です。

1962年長野県諏訪市生まれ。漫画家を目指して上京するも、ロックな先輩の「イラストがカッコいいぜ」のささやきからイラストレーターへ。84年に雑誌BRUTUSでデビュー。雑誌、書籍、広告、WEBなどを中心に仕事をしています。紙芝居的カクカクアニメーションや木彫りの3Dオブジェも制作しています。